――流動性縮小局面で起きる「資産価格の序列変化」
コロナ禍で世界は未曾有の量的緩和(QE)を経験しました。
そして現在は、その逆回転である量的引き締め(QT)が進行しています。
現状は「緩やかな縮小」ですが、もしこれが本格化した場合――
どの資産が最もダメージを受けるのか?
結論から言えば、
「流動性依存度が高い資産」ほど影響を受ける
です。
では、資産ごとに構造的に見ていきます。
1|最も影響を受けやすい:ハイグロース株(高PER株)
QT本格化で最初に影響を受けやすいのは、
将来の利益に強く依存している銘柄
です。
理由はシンプルです。
株価は将来利益の現在価値で決まります。
金利上昇+流動性縮小
↓
割引率上昇
↓
遠い将来の利益価値が大きく目減り
↓
高PER銘柄が下落
特に影響を受けやすいのは:
・赤字グロース株
・テーマ先行型銘柄
・ストーリー先行の新興企業
「夢を買う銘柄」ほどQTに弱い のが特徴です。
2|次に影響を受ける:仮想通貨
仮想通貨は典型的な流動性資産です。
過去を振り返ると、
・QE拡大期 → ビットコイン急騰
・引き締め期 → 大幅調整
という相関がはっきり見られます。
理由は:
・キャッシュフローを生まない
・金利が上がると魅力が相対低下
・投機マネーの影響が大きい
つまり、
余剰資金の象徴的存在
であるため、QT本格化ではボラティリティが拡大しやすい。
3|影響大:ハイイールド債(低格付け社債)
流動性が潤沢なときは、
投資家はリスクを取りやすくなります。
しかしQTが進むと、
・信用スプレッド拡大
・借り換えコスト上昇
・デフォルト懸念増加
となり、
信用リスク資産が売られる
特に財務体質が弱い企業は資金調達が難しくなります。
4|中程度の影響:不動産
不動産は
・金利
・融資環境
の影響を直接受けます。
QT本格化
↓
長期金利上昇
↓
住宅ローン金利上昇
↓
購入需要減少
商業不動産も同様です。
ただし不動産は
・実物資産
・インフレ耐性
があるため、暴落というより「調整型」になりやすいのが特徴です。
5|比較的耐性がある:高配当・ディフェンシブ株
流動性が縮小すると、
投資家は「実益」を重視します。
そのため、
・高配当株
・生活必需品
・公益
・エネルギー
などのキャッシュフロー安定型は比較的強い傾向があります。
重要なのは、
実際に現金を生むかどうか
です。
6|意外な存在:現金と短期国債
QT本格化で最も相対的に強くなるのは、
・現金
・短期国債
です。
金利上昇環境では、
「安全資産でも利回りが取れる」
状態になります。
リスクを取らなくても収益が得られるため、
資金は安全資産へ戻ります。
7|資産の影響度ランキング(QT本格化時)
影響が大きい順に並べると:
- 仮想通貨
- 赤字グロース株
- 高PERハイテク
- ハイイールド債
- 不動産
- 景気敏感株
- ディフェンシブ株
- 現金・短期債(最も強い)
共通点は明確です。
「将来期待」で価格が形成されている資産ほど弱い
「現在キャッシュフロー」がある資産ほど強い
本質:QTは“時間価値”を厳しくする
量的緩和は「未来に甘い世界」でした。
QTは逆です。
未来の価値を厳しく割り引く世界
になります。
だからこそ、
・遠い将来の利益
・根拠の薄い成長期待
・過剰レバレッジ
が淘汰されます。
まとめ
QTが本格化した場合、
■ 流動性依存資産が最も打撃を受ける
■ 将来利益依存型銘柄は大きく調整
■ キャッシュフロー安定資産は比較的耐性あり
■ 現金の価値が相対的に高まる
重要なのは、
QTが始まったかどうかではなく
「加速しているかどうか」
です。
市場は水位そのものより、
水位の変化スピードに反応します。


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