投資をしない。
それは一見、とても安全で賢明な選択に見える。
- 元本は減らない
- 価格変動に振り回されない
- 精神的に楽
しかし本当にリスクがないのは、「何もしないこと」なのだろうか。
ここでは、
30代・40代・50代が“投資を一切しなかった場合”の20年後を、
できるだけ現実的にシミュレーションしていく。
シミュレーション前提条件(共通)
まず、以下の前提で話を進める。
- 運用は一切しない(預金のみ)
- 金利はほぼ0%
- 年平均インフレ率:2%
- 収入は年齢とともに緩やかに減少
- 年金制度は現行水準をベースに微調整あり
※極端に悲観も楽観もしない「中立シナリオ」である。
1. 30代|投資をしない20年後(50代)
現在の典型像(30代)
- 年収:400〜600万円
- 貯蓄:300〜800万円
- 家庭:結婚・子育てが始まる
- 投資未経験 or 少額で停止
「今は忙しい」「そのうち始める」が口癖。
20年後の姿(50代)
① 資産額は「増えているようで、増えていない」
20年間、毎年50万円ずつ貯金できたとする。
- 元本合計:1,000万円
- 貯蓄総額:約1,500〜1,800万円
一見、順調に見える。
しかしインフレ率2%が20年続くと、
『実質価値は約67%』に目減りする。
👉 実質的には「1,000万円弱の価値」しかない。
② 教育費・住宅で“余力”が削られる
50代時点では、
- 大学進学
- 住宅ローン残債
- 親の介護
といった支出が重なる。
結果として、
「思ったより貯まっていない」
「老後資金が見えてこない」
という感覚が強まる。
③ 30代で投資しなかった最大の影響
それは**「時間を味方にできなかったこと」**だ。
- 20年という最大の武器
- 少額でも複利が効く期間
これを使わなかった代償は、50代で重くのしかかる。
30代・非投資の20年後まとめ
- 金額は増えたが、安心感は増えていない
- 老後準備のスタート地点が50代
- 「今さら感」が強くなる
2. 40代|投資をしない20年後(60代)
現在の典型像(40代)
- 年収:600〜800万円
- 貯蓄:1,000〜2,000万円
- 子どもの教育費がピーク
- 投資は怖くて避けている
「減らさないこと」を最優先。
20年後の姿(60代)
① 定年時の資産は“思ったより少ない”
仮に現在1,500万円あり、
今後20年でさらに1,000万円貯めたとする。
- 名目資産:2,500万円
しかしインフレ2%を考慮すると、
実質価値は約1,700万円程度。
② 年金+預金では生活がギリギリ
60代以降の現実。
- 年金:月15〜18万円
- 医療費・修繕費が増加
- 物価は上昇
結果、
「贅沢はできない」
「旅行や趣味は我慢」
「想定外の出費が怖い」
という生活になりやすい。
③ 働き続ける前提の老後
資産に余裕がないため、
- 再雇用
- パート・アルバイト
- 体力勝負の仕事
を続けざるを得ない可能性が高い。
40代・非投資の20年後まとめ
- 老後は「生活できるが、自由は少ない」
- 選択肢の少ないセミリタイア
- お金よりも「不安」が残る
3. 50代|投資をしない20年後(70代)
現在の典型像(50代)
- 年収:500〜700万円
- 貯蓄:2,000〜3,500万円
- 投資=ギャンブルという認識
- 「ここで減らせない」という恐怖
20年後の姿(70代)
① 見た目の資産額は十分に見える
例えば現在3,000万円あり、
大きく減らさず70代を迎えた場合。
- 名目資産:2,500〜3,000万円
一見、安心に見える。
② 実質価値は大きく減っている
インフレ2%×20年。
- 実質価値:約60〜65%
👉 3,000万円は「1,800万円相当」になる。
③ 最大の問題は「資産が働かない」こと
70代になると、
- 医療費
- 介護費
- 住環境の変化
が現実になる。
資産が増えない=
減るスピードが止まらない。
結果として、
「長生きリスクが怖い」
「お金を使えない老後」
に陥りやすい。
50代・非投資の20年後まとめ
- 資産はあるが、使えない
- 長生きがリスクになる
- 精神的な余裕が最も削られる
4. 年代別「投資しない20年後」比較表
| 年代 | 20年後の最大リスク |
|---|---|
| 30代 | 時間を失う |
| 40代 | 選択肢を失う |
| 50代 | 安心を失う |
共通しているのは、
お金が減ることより「人生の自由度」が下がる点だ。
5. 「投資をしない」は本当に安全なのか?
投資をしないことは、
- 短期的には安全
- 精神的には楽
だが、長期では、
- インフレ
- 寿命
- 社会制度の変化
という自分では避けられないリスクに無防備になる。
おわりに:静かなリスクに気づけるか
投資をしない20年間は、
劇的な事件は起きない。
しかし、
- 気づいたら時間が過ぎ
- 気づいたら選択肢が減り
- 気づいたら不安が増えている
それが「何もしないリスク」の正体だ。
投資とは、
お金を増やす行為ではなく、未来の不安を分散する行為。
そう捉え直したとき、
「投資をしない」という選択肢の意味も、初めて正しく見えてくる。


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