「もっと早く貯金や資産形成をしておけばよかった…」
「老後が不安だけど、何から始めていいか分からない」
こんな声を聞くたびに、私は思います。
なぜ多くの人は将来設計をせず、お金に困ってしまうのだろう?
ここでは、将来のお金の不安と向き合うために必要な、「設計しない理由」と「今からできる小さな行動」について掘り下げていきます。
1. 目の前の快楽を優先してしまう「現在バイアス」
私たちは、「今の楽しさ」や「目先の欲求」に弱い生き物です。
「将来のために貯金をしよう」と思っていても、
・目の前のセール
・SNSで見た旅行や外食
・ついつい手が伸びるコンビニの誘惑
こうした小さな出費が積み重なり、気づけば貯金ゼロという状態に…。
これは心理学でいう「現在バイアス」と呼ばれる現象で、将来のリターンより今の満足を過大評価する傾向のこと。
たとえば、
「今1万円もらえる」 vs 「1年後に1万2,000円もらえる」
という問いに対して、多くの人が「今欲しい」と感じるのです。
2. お金や人生設計を学ぶ機会がない
私たちは義務教育で、英語や数学、歴史などは学びますが、
「お金の使い方」「将来設計の立て方」はほとんど教わりません。
- 税金の仕組み
- 保険の必要性と種類
- 投資や資産形成の基本
- 退職後のライフプラン設計
こうした知識は、社会に出てから「必要になって初めて気づく」ことがほとんどです。
その結果、
・なんとなく入った保険が割高だった
・投資は怖いものと思い込んで避けていた
・年金や退職後の収入のイメージが全くなかった
というように、無知が不安や損失につながってしまいます。
3. 将来が「遠すぎて」現実感がない
20代の若者が「老後資金2,000万円問題」と言われても、ピンと来ないのは当然です。
なぜなら、将来は遠く、実感が湧きにくいから。
- 「老後って何歳のこと?」
- 「年金って結局いくらもらえるの?」
- 「病気とか介護とか、まだ関係ないでしょ?」
こうした“まだまだ先”という感覚が、将来を先延ばしにしてしまいます。
けれど、将来は“突然”やってきます。
気づけば50代、退職まであと10年。
そこから老後資金を準備するのは、非常に厳しいのが現実です。
4. 周囲に流され「みんなと同じ」で安心してしまう
「周りも貯金してないし、自分も大丈夫だろう」
「誰も資産運用なんてしてないよ」
そんなふうに思ったことはありませんか?
日本人は特に「空気を読む」「多数派に合わせる」文化が強いため、
将来の備えやライフプランについて積極的に語る人が少なく、“見えない圧力”で準備不足のまま年月が過ぎていきます。
SNSで見かける「キラキラした生活」も、見栄やローンで成り立っていることが多く、“他人の演出された生活”を基準にしてしまうと、将来設計は歪んでしまいます。
5. そもそも収入が少なく、余裕がない
「貯金しろって言うけど、生活するだけで精一杯」
「将来のことを考える余裕がない」
この声も非常にリアルです。
- 非正規雇用・低賃金
- 家計の赤字が常態化
- 奨学金や借金の返済負担
こうした状況では、将来設計どころではなく、“今日を生きるだけで必死”という状態に。
ただし、こうした状況でも「小さな設計」は可能です。
- 固定費の見直し(スマホ、保険、サブスクなど)
- 支出を記録し「見える化」する
- 月500円でも自動積立する
少額でも、“設計しようとする姿勢”が、未来の安心につながります。
6. 社会の変化が早すぎて、設計の意味が感じられない
「どうせ計画しても、その通りにはならない」
「年金もどうせ減るし、将来が読めない」
そんなふうに感じて、設計自体をあきらめてしまう人もいます。
- 終身雇用の崩壊
- 年金制度の見直し
- AIや自動化による職業の変化
- インフレや物価高
確かに、将来は不確実です。
しかし逆に言えば、「だからこそ計画が必要」とも言えます。
100%正確な設計でなくても、
・収入の柱を増やす
・無駄な支出を減らす
・生活防衛資金を確保する
といった“方向性のある備え”は、変化に強い人生をつくる第一歩です。
7. 「なんとかなるだろう」という根拠のない楽観
最後に、意外と多いのがこのタイプ。
「大丈夫でしょ」「なんとかなるよ」と、深く考えずに過ごしてしまう人です。
実際、過去の高度経済成長期やバブル時代では、“右肩上がりの楽観”がある程度通用しました。
しかし今は、状況がまるで違います。
- 給与が増えにくい
- 社会保障が薄くなる
- 貯金だけでは資産が目減りするインフレ時代
このような状況下で、「根拠なき楽観」は、将来の生活を脅かすリスクになってしまいます。
おわりに:将来設計とは「今の自分への贈り物」
将来設計というと、「老後の話」「投資や難しい計画」と思われがちですが、
本質はもっとシンプルです。
それは、「未来の自分が困らないように、今できることをしておく」ということ。
- 今日1,000円を無駄にしない
- 来月の支出を見直す
- 少しでも収入を増やす行動を始める
たったこれだけでも、それは立派な将来設計です。
◆まとめ:人が将来設計をしない7つの理由
- 今の楽しみを優先してしまう心理(現在バイアス)
- お金や資産形成を学ぶ機会がない
- 将来が遠すぎて実感が湧かない
- 周囲に合わせてしまい安心してしまう
- 収入が少なくて余裕がない
- 社会変化が早く、設計の意味が感じられない
- 根拠のない楽観主義
少しの意識と、少しの行動が、
数年後・数十年後の自分を大きく助けてくれます。
今日という日に「ちょっと考えてみる」。
それだけでも、あなたの未来は変わり始めています。
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