1970年代生まれが70歳になる2040年代の日本|私たちの老後はどうなるのか
はじめに――「70歳の自分」を想像したことがありますか?
1970年代生まれの人にとって、2040年代は決して遠い未来ではありません。
1970年生まれなら2040年に70歳、1971年生まれなら2041年、1975年生まれなら2045年、1979年生まれなら2049年に70歳になります。
つまり、現在50代の1970年代生まれにとって、2040年代は「いつか来る未来」ではなく、自分自身が70代を迎える時代なのです。
では、その頃の日本はどのような国になっているのでしょうか。
今より人口は減り、高齢者の割合はさらに上昇します。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、出生中位・死亡中位のケースでは、2040年の日本の総人口は約1億933万人、65歳以上人口は約3,633万人で、高齢化率は33.2%になるとされています。
2045年には総人口が約1億496万人、65歳以上人口は約3,640万人、高齢化率は34.7%となる見込みです。
つまり2040年代の日本は、
「人口が減っているのに、高齢者の存在感は今以上に大きい社会」
になっている可能性が高いのです。
1.2040年代の日本は「高齢者が珍しくない社会」になる
現在でも日本は世界有数の高齢社会です。
2024年10月時点で、65歳以上人口は3,624万人、高齢化率は29.3%です。
すでに日本人の約3.4人に1人が65歳以上という状況です。
ところが、2040年代にはさらに高齢化が進みます。
出生中位推計では、2040年の65歳以上人口割合は33.2%、2045年には34.7%です。
つまり2040年代には、
「3人に1人以上が65歳以上」
という社会が現実になります。
ここで重要なのは、「高齢者が増える」という単純な話ではありません。
若い世代の人口も同時に減少していくことです。
2040年には15~64歳人口が約6,099万人、2045年には約5,711万人まで減少すると推計されています。
高齢者が増える一方で、それを支える現役世代が減っていく。
これが2040年代の日本を考えるうえで最大のポイントです。
2.1970年代生まれは「日本の大転換」を経験する世代
1970年代生まれには、少し特殊な世代としての特徴があります。
子どもの頃には、まだ日本が「豊かになっていく」という感覚がありました。
高度経済成長の余韻が残り、バブル経済を経験し、その後のバブル崩壊、失われた20年、デフレ、少子高齢化、そして現在のインフレ・円安へと、日本社会の大きな変化を経験してきた世代です。
簡単に言えば、
「物価が安くなっていく時代」と「物価が上がっていく時代」の両方を知っている世代
ともいえます。
そして70代になる2040年代には、さらに大きな社会変化を経験することになります。
3.「70歳まで働く」が当たり前になる可能性
2040年代の日本では、「60歳で完全リタイア」という考え方は現在よりも少なくなっている可能性があります。
理由は単純です。
働く人が減るからです。
企業側から見ると、50代、60代、70代の人材を活用しなければ、人手不足を補えなくなります。
実際、介護分野だけを見ても、厚生労働省は2040年度に約272万人の介護職員が必要になると推計しています。2022年度の約215万人から約57万人増やす必要があります。
介護だけではありません。
医療、物流、建設、サービス業、地域インフラなど、さまざまな分野で人材不足が深刻になる可能性があります。
その結果、
「70歳でも働ける人は働く」
という社会がより一般的になるでしょう。
ただし、ここで重要なのは、
「70歳まで働かなければならない社会」と「70歳でも働きたい人が働ける社会」は違う
ということです。
理想は後者です。
生活のために無理をして働くのではなく、
- 社会とのつながりを持つ
- 小遣い程度を稼ぐ
- 生きがいを得る
- 人の役に立つ
- 自分の経験を活かす
といった目的で働けることが重要になります。
4.年金だけで生活することは、今より難しくなる可能性
1970年代生まれが70歳になる頃には、公的年金制度も現在とは違った姿になっている可能性があります。
ここで注意したいのは、
「年金制度がなくなる」という話ではない
ということです。
むしろ考えるべきなのは、
「年金を受け取れるとして、それだけで自分が望む生活を維持できるのか」
という問題です。
人口構造が変化すれば、社会保障制度を維持するための負担と給付のバランスも変化します。
また、インフレが続けば、名目上の年金額が増えていても、実際に購入できるモノやサービスの量が減る可能性があります。
だからこそ、
「年金はいくらもらえるか」だけではなく、「年金以外に何を持っているか」
が重要になります。
5.「資産を持っている高齢者」と「持っていない高齢者」の差が広がる
2040年代には、高齢者の間でも経済格差が大きな問題になる可能性があります。
同じ70歳でも、
- 持ち家がある
- 住宅ローンがない
- 金融資産がある
- 年金収入が安定している
- 働いて収入を得られる
という人と、
- 賃貸住宅
- 貯蓄が少ない
- 年金収入だけ
- 医療・介護費の負担が大きい
という人では、生活の自由度が大きく違ってきます。
特に重要なのが、住居費です。
老後の生活費を考えるとき、多くの人は食費や光熱費、医療費などに注目します。
しかし、家賃は毎月発生します。
70歳から90歳まで20年間、月7万円の家賃を支払うだけでも、
7万円×12か月×20年=1,680万円
になります。
これは決して小さな金額ではありません。
2040年代の老後設計では、
「いくら貯めるか」だけではなく「老後に毎月いくら固定費が必要なのか」
を考えることが重要になります。
6.医療と介護は「自分の問題」になる
1970年代生まれが70歳になる頃には、親世代の介護を経験している人も多いでしょう。
そしてその頃には、自分自身が介護を受ける可能性も現実的な問題になります。
現在でも75歳以上人口は2,078万人に達しています。
今後は高齢者人口そのものが増え続けるだけでなく、85歳以上など、より高齢の層も増えていきます。
つまり、
「老後=年金生活」ではなく、「老後=医療・介護も含めて考える時代」
になります。
重要なのは、介護状態にならないことだけを目標にするのではなく、
「もし介護が必要になったら、どうするか」
を事前に考えておくことです。
例えば、
- どこで暮らすのか
- 誰に頼るのか
- 介護費用をどうするのか
- 自宅介護か施設か
- 判断能力が低下した場合に誰が手続きをするのか
といった問題です。
これは50代から準備しておいても早すぎません。
7.「子どもに頼る老後」は難しくなる
1970年代生まれには、子どもがいる人もいれば、子どもを持たない夫婦もいます。
そして2040年代には、子どものいない高齢者も珍しくありません。
少子化によって、兄弟姉妹や親族そのものが少ない世代でもあります。
そのため、
「何かあったら子どもに頼ればいい」
という老後設計は、これからますます現実的ではなくなります。
特に、
- 認知症
- 入院
- 施設入所
- 財産管理
- 相続
- 死後の手続き
などについては、元気なうちから準備しておくことが重要です。
遺言、任意後見、家族信託など、自分の意思を将来につなぐ仕組みについても、50代から考えておく価値があります。
8.地方では「便利な生活」が難しくなる可能性
人口減少は、単に人が減るだけではありません。
地域の商店、病院、公共交通機関、金融機関などを維持することが難しくなる可能性があります。
特に人口減少が進む地方では、
「近所にスーパーがない」
「病院まで遠い」
「バスの本数が少ない」
「自動車がないと生活できない」
という問題が深刻になる可能性があります。
70歳になってから住む場所を考えるのではなく、
60歳前後から「70代、80代でも生活しやすい場所」を考えておく
ことが重要です。
9.一方で、2040年代は「高齢者だから不自由」という時代ではない
ここまで読むと、2040年代の日本は暗い未来に感じるかもしれません。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
技術革新によって、高齢者の生活は現在より便利になる可能性があります。
例えば、
- AIによる生活支援
- オンライン診療
- 自動運転
- ロボットによる介護支援
- キャッシュレス決済
- スマートホーム
- オンライン行政手続き
- 遠隔コミュニケーション
などです。
人口減少による人手不足を、テクノロジーで補う社会になる可能性があります。
つまり2040年代は、
「人が減る社会」であると同時に「人が少なくても生活できる仕組みが発達する社会」
でもあるのです。
10.70歳からの人生は、今より長い
1970年代生まれが70歳になる頃には、「70歳=高齢者だから人生の終盤」という感覚も変わっているかもしれません。
平均寿命が伸びれば、70歳から20年、30年近い人生が残っている人も珍しくありません。
70歳から90歳まで20年間あると考えれば、
70歳は人生の終わりではなく、第三の人生のスタート
とも考えられます。
問題は、その20年間をどのように過ごすかです。
・働くのか。
・旅行するのか。
・趣味を楽しむのか。
・社会貢献するのか。
・地域活動をするのか。
・夫婦で暮らすのか。
・一人で暮らすのか。
2040年代には、「長く生きること」以上に、
「長い人生をどう設計するか」
が重要になります。
11.1970年代生まれが今から準備すべき5つのこと
では、現在50代の1970年代生まれは、何を準備すればよいのでしょうか。
① 生活費を下げる
老後資金を増やすことばかり考えるのではなく、
「少ないお金でも満足できる生活」を作る
ことが重要です。
毎月30万円必要な人と、毎月20万円で満足できる人では、老後に必要な資産が大きく変わります。
② 金融資産を作る
預貯金だけでは、インフレに弱いという問題があります。
一方で、株式などのリスク資産にも価格変動があります。
だからこそ、
- 現金
- 預貯金
- 株式
- 投資信託
- 年金
などを組み合わせ、自分に合った資産配分を考えることが重要です。
NISAなどの制度も活用しながら、長期的な資産形成を進めたいところです。
③ 「働ける能力」を残す
2040年代には、70歳でも働くことが珍しくなくなっている可能性があります。
だからこそ、50代から、
「会社を辞めても収入を得られる能力」
を育てておくことが重要です。
例えば、
- 専門技術
- 接客
- 営業
- IT
- 教育
- コンサルティング
- 趣味を活かした仕事
などです。
これは金融資産とは違う、
「人的資本」
という資産です。
④ 健康を資産として考える
70歳になってから健康を作るのでは遅い場合があります。
運動、食事、睡眠、体重管理、歯の健康など、50代からできることは多くあります。
健康であれば、
- 医療費を抑えられる可能性
- 働ける期間が延びる
- 趣味を楽しめる
- 旅行できる
- 人との交流が続く
など、人生の自由度が高まります。
健康は、最大の「時間資産」でもあります。
⑤ 「お金以外の老後」を作る
資産形成だけでは、豊かな老後にはなりません。
70歳になったとき、
「仕事がなくなったら何をするのか?」
という問題があります。
そのため50代から、
- 趣味
- 旅行
- スポーツ
- 友人
- 地域とのつながり
- 社会貢献
- 学び
- 家族との時間
などを作っておくことが大切です。
老後の幸福度は、資産額だけでは決まりません。
12.1970年代生まれにとって「今」は最後の準備期間
1970年代生まれが70歳になるまで、まだ10~20年以上あります。
これは長いようで、実はそれほど長くありません。
例えば1970年生まれなら、2026年現在53歳。
70歳まで約17年です。
17年あれば、
- 資産形成
- 住宅や住居の見直し
- 働き方の変更
- 健康づくり
- 人間関係の整理
- 老後の生活費削減
- 年金戦略
- 相続・終活
- 趣味や生きがい
など、多くの準備ができます。
逆に、70歳になってから慌てて準備を始めても、できることには限界があります。
だからこそ、
「70歳になった自分」を今の自分が支える
という考え方が重要なのです。
13.2040年代の日本で本当に重要になるもの
2040年代の日本では、
「国がすべて面倒を見てくれる」
という考え方は、今より難しくなる可能性があります。
一方で、
「すべて自分で何とかしなければならない」
ということでもありません。
公的年金、医療、介護、社会保障をベースにしながら、
自分で準備できる部分は、自分で準備する。
この考え方が重要になります。
そして、その準備は金融資産だけではありません。
2040年代の老後に必要な5つの資産
① お金
生活を支える金融資産。
② 健康
自由に行動するための身体。
③ 仕事
必要なら収入を得られる能力。
④ 人間関係
困ったときに支え合える人とのつながり。
⑤ 時間
自分の人生を自分のために使える時間。
この5つをバランスよく準備することが、これからの老後設計には欠かせません。
まとめ――2040年代は「老後」ではなく「新しい人生」の時代
1970年代生まれが70歳になる2040年代。
日本は今より人口が減少し、高齢化が進み、働き手不足や社会保障など、多くの課題を抱えているでしょう。
一方で、AIやロボット、自動運転、医療技術などによって、現在より便利で自由な生活ができる可能性もあります。
つまり、2040年代の日本は、
「厳しい社会」になるか「豊かな高齢社会」になるかが、今からの準備によって大きく変わる時代
なのです。
特に1970年代生まれは、その変化を70代という当事者として経験します。
だからこそ、50代の今から考えておきたいのです。
「70歳になった自分は、どこに住んでいるのか。」
「毎月いくら必要なのか。」
「何歳まで働くのか。」
「誰と暮らしているのか。」
「健康を維持できているのか。」
「何を楽しみに生きているのか。」
そして何より、
「70歳になったとき、私はどんな人生を送っていたいのか。」
2040年代は、まだ未来です。
しかし、その未来を作るのは、現在の選択です。
1970年代生まれにとって、今は「老後を心配する時期」ではありません。
70歳からの人生を、自分自身で設計し始める時期なのです。

コメント