はじめに|「同じサイドFIRE」でも、資産額で戦い方は全く違う
サイドFIREという言葉は同じでも、
- 資産3,000万円
- 資産5,000万円
- 資産8,000万円
では、インフレに対する耐性・許容できるリスク・取るべき行動は大きく異なります。
重要なのは、
「どの資産額が安全か?」
ではなく
「その資産額で、どのような設計をすればインフレに耐えられるか?」
本章では、
50代・労働時間半減・シンプル生活という前提で、
資産額別に「現実的で崩れにくいインフレ耐性モデル」を提示します。
第1章|資産3,000万円モデル
――「防御と柔軟性」を最優先する段階
■ 資産3,000万円の立ち位置
資産3,000万円は、
- フルFIRE → ほぼ不可能
- サイドFIRE → 条件付きで可能
という境界ラインです。
インフレ時代においては特に、
- 取り崩し耐性が低い
- 想定外の支出に弱い
という特徴があります。
■ 想定ライフスタイル(現実ライン)
- 年間生活費:200万〜230万円
- 労働収入:年80万〜120万円
- 資産取り崩し:年80万〜120万円
👉 資産からの依存度を50%以下に抑えることが重要。
■ インフレ耐性の考え方(最重要)
資産3,000万円層で最も危険なのは、
「もう働かなくても何とかなる」という錯覚
インフレ下では、
数年で前提が崩れる可能性があります。
この層の基本戦略は明確です。
✔ 原則:
資産は「補助エンジン」、主エンジンは労働
■ 推奨アセット配分(例)
- 現金:25〜30%
- 株式(全世界・S&P500等):55〜60%
- その他(REIT等):10〜15%
※ 現金を多めに持つのは「安心」ではなく、
相場下落時に売らないための保険。
■ 行動指針(3,000万円モデル)
- 労働収入の蛇口は絶対に閉めない
- 取り崩し率は最大でも年3%
- 生活費の固定化(住宅ローン・車)は避ける
- インフレを理由に「守り過ぎない」
👉 「耐える」より「しなやかに動く」ことが生存戦略
第2章|資産5,000万円モデル
――「インフレと共存できる」現実的サイドFIRE層
■ 資産5,000万円の立ち位置
資産5,000万円は、
- サイドFIREの安定ライン
- 精神的余裕が一段上がるゾーン
です。
ただし、ここで油断すると、
「資産はあるが、生活が窮屈」
という逆転現象が起こります。
■ 想定ライフスタイル
- 年間生活費:230万〜260万円
- 労働収入:年50万〜100万円
- 資産取り崩し:年130万〜160万円
👉 労働は義務ではなく調整弁。
■ インフレ耐性の本質
この層の最大の強みは、
「インフレを“吸収”できる余白」
- 一時的な物価上昇
- 市場下落
- 支出増
これらが起きても、
即座に生活破綻しない。
ただし、注意点もあります。
■ よくある落とし穴
- 現金比率が高すぎる
- 債券・保険に偏りすぎる
- 労働を完全に切ってしまう
これらはすべて、
「インフレ耐性を自ら下げる行為」
です。
■ 推奨アセット配分(例)
- 現金:20%前後
- 株式:65〜70%
- その他:10〜15%
👉 株式を「成長」ではなく「防衛資産」として持つ。
■ 行動指針(5,000万円モデル)
- 労働収入は「無くてもいいが、あれば強い」
- 取り崩し率は年3〜3.5%以内
- 支出は「減らす」より「切り替える」
- インフレを理由に生活の質を下げ過ぎない
👉 インフレに“振り回されない”段階
第3章|資産8,000万円モデル
――「インフレを味方につけられる層」
■ 資産8,000万円の立ち位置
この層に入ると、
- サイドFIREというより
- 「セミリタイア+選択労働」
に近づきます。
インフレに対しても、
「耐える」→「利用する」
という発想が可能になります。
■ 想定ライフスタイル
- 年間生活費:260万〜320万円
- 労働収入:0〜自由
- 資産取り崩し:年200万前後
👉 取り崩し率は2.5〜3%
■ インフレ耐性の最大の武器
この層の最大の強みは、
- 時間
- 資産
- 心理的余裕
です。
インフレによる一時的な不安定さを、
- 長期視点
- 分散
- 放置力
でやり過ごせます。
■ 注意すべき唯一のリスク
それは、
「守り過ぎによる実質的貧困」
- 現金を抱え過ぎる
- リスクを極端に嫌う
- 使わないまま人生を終える
これは、
インフレ時代に最も起こりやすい悲劇です。
■ 推奨アセット配分(例)
- 現金:15%以下
- 株式:70〜75%
- その他:10〜15%
👉 インフレは、
資産を動かしている人に味方する。
■ 行動指針(8,000万円モデル)
- 労働は「収入」ではなく「選択肢」
- 取り崩しを恐れ過ぎない
- 生活の満足度を最優先
- インフレを理由に人生を縮めない
第4章|資産額別インフレ耐性の本質比較
| 資産額 | インフレ耐性 | 主戦略 |
|---|---|---|
| 3,000万 | 低〜中 | 労働併用・柔軟性 |
| 5,000万 | 中〜高 | 分散・調整 |
| 8,000万 | 高 | 長期・放置 |
最後に|正解は「資産額」ではなく「設計」
重要なのは、
いくら持っているか
ではなく
どう使い、どう残すか
インフレ時代のサイドFIREにおいて、
- 完璧な安全
- 永久に減らない資産
は存在しません。
だからこそ、
動ける余地を残すこと
それが、
資産3,000万でも、5,000万でも、8,000万でも、
共通する最強のインフレ耐性です。


コメント