――世界的な通貨大量発行が株高を支える“賞味期限”を考える
2020年のコロナ禍で、世界は歴史的な金融緩和を経験しました。
・ゼロ金利政策
・量的緩和(QE)の拡大
・巨額の財政出動
・中央銀行による国債・社債の大量購入
その結果、世界の通貨供給量(マネーサプライ)は急増しました。
そして2026年現在、米国ダウ平均も日経平均も高値圏にあります。
では本題です。
コロナ後の金融政策は、いつまで株高に効き続けるのか?
単純な「続く・終わる」の二択ではなく、どのように効力が弱まっていくのか を構造的に見ていきます。
1|金融政策は「即効薬」ではなく「土壌改良」
まず重要なのは、金融緩和は株価を直接上げる魔法ではないということです。
金融緩和
↓
通貨供給量が増える
↓
市場に余剰資金が生まれる
↓
投資資金がリスク資産へ向かう
↓
株価上昇
これは需給の論理です。
つまり金融政策は、株を上げるというより
「資金が株式市場に流れ込みやすい環境をつくる」
という土壌改良的な役割です。
土壌は急には痩せません。
しかし、永遠に肥沃でもありません。
2|効力が続く期間を決める3つの要因
金融政策の“効き目”は、次の3つで決まります。
① 金利水準
金利が低いほど、株式は相対的に魅力的になります。
・預金が増えない
・債券利回りが低い
・将来利益の割引率が低い(理論上株価は上がりやすい)
しかし金利が高止まりすると、
「安全資産でも十分な利回りが取れる」ため、株式の優位性は低下します。
現在はピークアウト感があるとはいえ、コロナ直後ほどの超低金利ではありません。
つまり、金融政策の“追い風”はやや弱まっています。
② 通貨供給量の伸び率
重要なのは「増えたかどうか」ではなく
今も増え続けているか
です。
株価は「増加の加速」に反応します。
・急増 → 強い株高
・増加停止 → 横ばい
・減少 → 調整リスク
コロナ期のような爆発的なマネー増加はすでに終わっています。
ただし、完全な資金回収(QT)が進んでいないため、膨らんだマネーの“水位”自体は依然高い 状態です。
つまり、
「追加燃料」は減ったが、「タンクの中身」はまだ多い
という状況です。
③ 実体経済がマネーを吸収できるか
金融緩和の効果は、最終的に企業利益へ転換される必要があります。
マネーが増えても、
・企業収益が伸びない
・賃金が上がらない
・消費が弱い
この状態では、株価は持続しにくい。
しかし現在は、
・AI・半導体分野の成長
・デジタル投資の拡大
・円安効果(日本)
・企業の価格転嫁進展
など、利益面が一定程度支えています。
だからこそ株価は崩れていないのです。
3|では、いつまで効くのか?
結論から言えば、
金融政策単体の効果はすでにピークを越えている
しかし「膨張したマネーの残存効果」は数年単位で持続する
と考えられます。
理由はシンプルです。
中央銀行が資金を市場から完全に回収するには、
・急速なQT(量的引き締め)
・高金利長期化
・流動性縮小
が必要ですが、これをやると景気が急減速します。
そのため現実的には、
緩やかに薄める
しかし一気には抜かない
という調整が続きます。
つまり、
「効き続ける」ではなく「ゆっくり弱まる」
が正確な表現です。
4|最大のリスクはどこにあるか?
金融政策の賞味期限が切れる瞬間は、以下のような場面です。
・金利が再び急騰する
・インフレ再燃で追加引き締め
・信用不安が発生
・企業利益が減速に転じる
特に重要なのは、
企業利益の鈍化 × 金融引き締め
が重なった時です。
この組み合わせは、歴史的に株価調整を引き起こしてきました。
5|今の株高は「マネー+成長期待」の複合型
2026年現在の株高は、
・コロナ期に膨張したマネーの残存効果
・AIや構造成長テーマへの期待
・政策支援
・資産インフレの継続
が組み合わさった状態です。
もはや「金融緩和だけ」で上がっているわけではありません。
しかし、マネーという基礎水位が高いからこそ、
調整が入っても崩壊には至りにくい構造になっています。
まとめ
■ コロナ期の金融政策の“瞬間的効果”は終了している
■ しかし膨張したマネーは依然として市場を支えている
■ 効果は急停止ではなく、徐々に薄れていく
■ 最終的な鍵は「企業利益」と「金利」
金融政策の影響は、スイッチのON/OFFではありません。
水位が下がるかどうかを見極めることが重要です。


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