生命保険には大きく分けて「掛け捨て保険」と「積立型保険(貯蓄型保険)」の2種類があります。
多くの人は将来の保障を考え、どちらかを選択しますが、長期的に資産を増やす観点から考えると、掛け捨て保険と投資を組み合わせる方が合理的です。
『積立型保険』と『掛け捨て保険+投資』の違いを比較し、なぜ後者の方が資産形成に有利なのかを考察します。
1. 積立型保険と掛け捨て保険の基本的な仕組み
(1) 積立型保険(貯蓄型保険)
積立型保険とは、保障と貯蓄機能を兼ね備えた保険商品です。代表的なものとして、
- 終身保険(死亡保障が一生続く)
- 養老保険(満期時に保険金が支払われる)
- 学資保険(子どもの教育資金を準備する目的) などがあります。
これらの保険は、一定期間保険料を払い込むことで、将来的に解約返戻金や満期保険金を受け取れる仕組みですが、保険会社の運用コストが含まれるため、リターンは比較的低く抑えられます。
(2) 掛け捨て保険
掛け捨て保険は、期間内に万が一のことがあった場合のみ保険金が支払われるシンプルな商品です。
代表的なものに定期保険(一定期間の死亡保障)や収入保障保険(一定期間、遺族に定期的な給付)があり、貯蓄機能はありません。
そのため、保険料は安く抑えられます。
2. 積立型保険の問題点
(1) 低い運用利回り
積立型保険の運用利回りは、一般的に1〜2%程度と低く、銀行預金よりは良いものの、投資信託や株式投資と比較するとリターンが少ないです。
例えば、S&P500に連動するインデックスファンドの過去の平均リターンは**年率7〜8%**程度です。
(2) 保険会社のコストと手数料
保険会社は保険料の一部を運用しますが、その中には営業手数料や管理費用が含まれます。つまり、保険契約者の支払ったお金の一部は保険会社の利益となるため、純粋な投資と比べて効率が悪くなります。
(3) 解約返戻金のリスク
積立型保険を途中で解約すると、払い込んだ金額より少ない額しか戻らない場合があります。
特に加入してから10年以内の解約は元本割れしやすく、流動性が低い資産となります。
3. 掛け捨て保険と投資を組み合わせた場合のメリット
(1) 保険料を節約し、投資に回せる
掛け捨て保険は、積立型保険よりも圧倒的に保険料が安いのが特徴です。例えば、
- 積立型保険:月額2万円(うち1万円が保障、1万円が貯蓄)
- 掛け捨て保険+投資:月額5,000円(保障)+15,000円(投資)
このように、掛け捨て保険を選ぶことで保険料を抑え、その分を投資に回せます。
(2) 高いリターンを期待できる
積立型保険の利回りが1〜2%に対し、株式投資やインデックスファンドの期待リターンは5〜8%程度です。以下の比較を見てみましょう。
- 積立型保険:月2万円を30年間払い込み、年利1.5%で運用した場合 → 約930万円
- 掛け捨て保険+投資:月1.5万円を年利7%で運用した場合 → 約1,760万円
このように、投資を活用することで資産を大きく増やすことが可能です。
(3) 流動性の高さ
積立型保険は途中解約すると元本割れのリスクがありますが、投資信託や株式なら必要なときに売却でき、柔軟に資産管理ができます。
(4) 自由な資産運用が可能
積立型保険は保険会社が運用するため、投資対象を自由に選べません。一方、投資信託・ETF・株式・債券など自分で選択できるため、リスク分散や目的に応じた運用が可能です。
4. 具体的な実践方法
(1) 必要な保障額を計算する
家族構成やライフスタイルによって必要な死亡保障額は異なります。例えば、
- 独身なら最低限の葬儀費用分
- 子供がいるなら教育費をカバーする額
このように、必要な保障を見極めて掛け捨て保険を選ぶことが重要です。
(2) 投資の選択肢
投資にはさまざまな方法がありますが、初心者にはインデックスファンドが最適です。
- 米国株式(S&P500、全世界株式)
- つみたてNISAやiDeCoを活用する
(3) 定期的に見直しを行う
ライフステージの変化に応じて、
- 保険の見直し(必要な保障額の増減)
- 投資ポートフォリオの調整 を行うことで、効率的に資産を増やせます。
5. まとめ
- 積立型保険はリターンが低く、流動性が悪い
- 掛け捨て保険なら安い保険料で必要な保障を確保できる
- 浮いたお金を投資に回すことで、長期的に大きな資産形成が可能
- 投資信託やETFを活用すれば、5〜8%のリターンを期待できる
結論として、保険は『起こってしまったら人生が終わってしまう事』をカバーする為にかけるものです。
資産を増やすための投資とは切り離して考えましょう。
掛け捨て保険で最低限の保障を確保しつつ、余った資金を投資に回すことで、長期的な資産形成を最大化できるのです。
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